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世界説明SS
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(2010/10/25)
「イヒ……キヒッ……」
 ガラスを引き掻くような耳障りな笑いが響く。
「キ……ヒッ」
 何がおかしいのか────それを憶測する事はできない。
 むしろ真っ当な精神を持っているならば、その音に含まれる圧倒的な狂気から意識を背けるだろう。
 狂っている。世界のあり方、存在そのものが捩れ狂うような、あらゆる世界から『狂気』という概念を抽出したような嗤い。
「ン……ン、ン、ンン?」
 ぎょろりと目玉が動き、虚空を見つめる。それからにちゃりと音を立て、半月状に口が割れた。
「……ホコロビ」
 まるで一言一言が脳をいじくり掻き回す火掻き棒のように、人だけではなく空間をもかき乱す。
「キ……ヒ」
 ぐるんと目玉が回り、捩れる嗤い声を響かせて
「ヒヒ……」
 それはただ、ただ嗤い続けた。その意味さえも狂わせて。
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