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【inv05】『勇者防衛線』
〜最終話〜
(2010/6/21)
「私が言うのも何ですが、世界を宜しく頼みますよ」
「ほんと、あんたが言う台詞じゃないわね」

 翌日。
 袋いっぱいに詰まった種を手に勇者ネーヴァは呆れたような、しかし柔らかい笑みを浮かべる。
「みんなもありがとう」
 見送りに集まっていた面々がお土産を手渡したりだとか簡単な言葉を掛けたりだとかする。
「最初は派手な戦いになると思ってたんだけどなぁ」
 エディの言葉に「平和に終わるなら良いじゃないですか」とセリナが応じる。
「上手くいかなければまた来てください。協力しますよ!」
 アフロが楽しげにそう言うと、わさわさ動く頭にちょっと警戒しつつもネーヴァは頷く。
「きっと上手くいきますよ」
「ま、そうならないと昨日の苦労の甲斐ってもんがないしな」
 ノアノが元気に言ってガスティが苦笑する。
 そんな和気藹々とした空気の中、踏ん切りを付けるようにネーヴァは一行に「じゃあ」と手を挙げて扉に手を触れ、「落ち着いたらまた来るよ」と振り返って笑みを見せた。
 こうして、勇者ネーヴァは元の世界へと戻って行ったのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 後に大図書館に収められる研究書には以下のように記されている。
 魔王イビールによって生み出された花は持ち帰った勇者の名を取って『ホワイトネーヴァ』と名づけられた。
 この花は世界に満ち溢れようとしていた瘴気を喰らい世界中に広まった後、次第に姿を消していった。
 しかし完全に白の花は消え去りはしなかった。特に魔法技術に栄える帝都周辺ではこの白の花は季節を問わずに絶えぬ白を誇り続けたと言う。
 そのためこの世界の瘴気は魔術を使ったときに出る廃棄物ではないかという推測が浮上。そして事実魔王が発生する前には魔法技術の革新が顕著に見られると言う事もこの論を肯定していた。
 勇者ネーヴァは晩年、魔王と呼ばれた存在が実はこの世界の安全装置であること。そしてホワイトネーヴァの生みの親であると言う事を明かした。すでに魔法が瘴気を生む事、白の花が瘴気を喰らう事を事実として受け入れていた人々は(一部神官の過激な反論があった物の)その言葉を受け入れ、白の花に敬意を持って接したと言う。
 また余談ではあるが。
 勇者ネーヴァは時折ふらり居なくなり、帰ってくると見た事もない珍妙な物を持ち帰ってきたと言う。それは無闇に他人に与える事はなかったが、流失したいくつかの物がこの世界に影響を与えた事は言うまでもない。

 白の花は、その世界に魔法とそして時が続く限り風に揺れて咲き続ける。

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 というわけでこれにて【inv05】勇者防衛線 終了となります!

 さて、いきなりですが皆さんはチュンソフトのノベルゲームをやった事があるでしょうか。
 『かまいたちの夜』が有名作ですが、このサイトでのシナリオ形式はこれに近い物があります。
 話の軸となるキーワードは変わりませんが、選択肢によってNPCの設定や舞台の設定が微妙に変化し全く違うお話になります。Explorer'sでのシナリオはそういうマルチエンディングです。
 なので同じシナリオをもう一度行った場合、メンバーが違ったり、行動が違うと全く別のシナリオになってしまう事になります。
 いろいろぶっちゃけますと
 ・力づくでネーヴァを止めようとした場合、大乱闘が発生し、ネーヴァをイビールに近づけないというシナリオになっていた。
 ・セリナのリアクションが無ければ、瘴気光合成ネタは存在していなかった。
 正直なところ、イビールが花屋だった理由は前のシナリオでは意外性だけを追求した結果です。そんな深い理由なんてありません(笑
 今回は学者軍団が調べ物に走り、友好的な態度で他が望んだためこういう結果になりましたが、半分くらいの確率でガチ戦闘シナリオになるかなぁと踏んでました。
 さらにぶっちゃけるとありえた結果として
 ・実はイビールは元人間でネーヴァの知り合いだった
 なんて事もありえました。ちなみにこれの発生条件は恐らくネーヴァがイビールの事を「あいつ」呼ばわりしている事を指摘したら・・・だったでしょうね(笑

 まぁ、そんな感じでゲームスタート時には総合GMも結末を予想しておりませんので、ぜひ皆さんで物語を作っていただけたらなと思います。
 以上、総合GM神衣舞でした(=ω=)b
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