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【inv06】『ばとる おぶ せいぎのみかた』
〜その1〜
(2010/5/28)
「では、まず概要を説明いたしましょう」
 ビジネススーツに眼鏡をかけ、金髪を七三分けにした男がにこやかに口を開く。
「今回の催し物は『乱入』というサプライズを目的としています」
「はぁ……?」
 動作は軽やかだが動くたびにピシリミシリと縫製が悲鳴を上げさせている男にヨンはやや引きつった声で応じる。
 体の隅々まで筋肉。どう見てもお前の着るスーツは黒で、眼鏡はサングラスだと指差して言い放ちたいという衝動を抑えつつ話に耳を傾ける。
「闘技場でのイベントマッチにダイアクトーが乱入。場の占拠を宣言します。
 そこに貴方達も乱入し、食い止めんと戦うという演出ですね。
 ただしダイアクトー側はこれを演出と思っていません。なので全力で戦ってください」
「ほほう。それは心沸きますなぁ」
 アフロが心のそこから楽しそうに頷く。非戦闘系の彼のことだ。戦いにでなく演出に、だろう。
「ええと、それで我々は勝てば良いんですか?」
「どちらでも結構です。本気で戦って客を盛り立てる事が狙いですからね。
 一般的な世界なら何としても正義側に……ということもあるでしょうが、ここはクロスロードですし、ダイアクトーはダイアクトーで人気がありますから」
「ちなみに演出の方はどうですか? 爆発とか煙幕とか!」
「元々闘技場にそういう演出設備もありますのである程度は自由になります。
 ただ戦闘中の演出は危険なので登場時や敗退時の演出がメインになるでしょうね。
 ああ、あとご存知だと思いますが闘技場には安全装置が備わっており、致死ダメージを受けると自動的に保護されます。安心して戦ってください」
 クロスロードの闘技場はスポーツ的な娯楽と力試しを主にしているらしい。というのもそういう日常から乖離した血生臭い演出を求めるのは非戦闘な人たちである。町の大半が戦いに身を置き、外からの脅威も身近なこの町では賞金稼ぎや力試しの色合いの方が濃くなって居るようだ。
「ほほーーー! いいですね!!いいですね! ぜひ派手にやりましょう。
 いやぁ懐かしいですねぇ。子供の頃は採石場に爆薬を仕掛けたものです」
「……」
 子供が遊びで爆薬を扱うのはいかがな物かと思いつつも
「……」
 ピートリーがその手に気付く。そしてにやりと笑ってがっしりと握手。
「いいですね、それ!」
「分かりますか! いや、分からなくても分かるべきですよね!!」
「はい!」
 ヨンさん。実は事前にヒーローショウの予習をしてきたらしいのですが、見事にハマったらしいです。はい。
「いやぁ、ノリの良い方が着てくださって助かります。
 では展開についてお話を進めましょう。
 ああ、ちなみにダイアクトーの戦闘員の方数名とは話をつけていますので」
「ほほう。それは演技の幅が広がりますね!」
 いい年した男三人が顔を突き合わせて熱く語り合う様はこの後3時間ほど続いたらしい。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「今日だよなぁ?」
 エディがやや胡散臭そうな顔をしつつ闘技場のゲートを潜る。
 怪しさ満点の依頼を気にはしつつも参加にまでは踏み切れなかった彼はどんな事をやるつもりかと見物にきていた。
 コロッセオに概観を似せては居るものの、内部は屋台やグッズ売り場がずらり並んでおり、資料館なんてものもあるらしい。ちょっとしたテーマパークを思わせる。行きかう人も殺し合いを見に来たというよりはスポーツ観戦を楽しみに来たような明るい雰囲気だ。中には特定の選手のおっかけみたいな人も居る。
 所々にある大型モニターを見ると現在行われている試合が表示されていた。今日は年に一度行われるチャンピオンズリーグの予選が主に組まれているらしい。
『本日のプログラムを受領しました。参照が可能です』
 PBからのメッセージ。とりあえず連中が参加するだろう試合を探すが、少なくとも名前は見当たらない。
「ありえるとすると、このイベントマッチってやつかな?」
 プログラムの中ごろにあまりぱっとしない試合が1つ組まれている。どっかの錬金術師が作ったゴーレムと戦士が戦うらしい。
 それまでだいたい一時間くらいある。折角来たのだから適当に楽しむかと呟き、適当なスナックと飲み物を求めに場内をうろつくのだった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「うぉおおおお!!」
 メイスの一撃がゴーレムの腕を叩き、カァアアアアアンと甲高い音を響かせる。相手がゴーレムと言う事でチョイスした武器らしいがゴーレムに何の痛痒も与えていない事は明白だ。
 贔屓目に見てもコメディに近いやり取りは観客にトイレ休憩だろうかと思わせる程だ。茶番にも満たない。
 見切りを付けた人の流れが飲食の補給等に向こうとしたとき、それは起こった。

 ドォオオオオオオオオオン!!!

 突如闘技場、それも観客席の一角で強烈な煙が上がったのだ。
 不意打ちに泡を食う観客だが─────
「なんてお粗末な試合なのっ!」
 幼いながらに凛として、マイクも必要も無いほど響く声。
 場内は何事かと探るように静まる中、各所で声が上がる。
「ダイアクトー様だっ」
 伝言ゲームのように広がる囁きに好奇の視線が錯綜する。そして煙幕を突っ切るようにして小柄な影が飛び出し、危なげも無く闘技場の舞台に降り立った。
 黒を基調とした禍々しい革鎧には所々に刺々しい装飾が備え付けられている。靡く赤髪を背に払い、続く動作でピシリと実況解説席を指差した。
「この闘技場はこのダイアクトー三世が占拠するわ!!!」
 目元を仮面で隠した少女の宣言に場内の一部から歓声が上がる。
「ふん、あたしに支配されて喜ぶ愚民どもも居るようね」
 よーく聞くと「ダイアクトーちゃんかわいいー」だとか「いいぞー、もっとやれー」とか、どう考えても尊敬と崇拝から程遠い内容なのだが彼女が気にする事はない。
「うふふ。いいわね。私をあがめなさい。私の力で世界を恐怖に叩き込んであげるわ!」
 ぽかんとしていた人たちもダイアクトーの噂はちらほらと耳にしている。これが本当のイベントマッチだと察して席に戻り始める。

「待ちなさい!!」
 
 闘技場のスピーカーを使っての一喝。
「何ヤツっ!?」
 振り返り見上げるといつの間に用意されたのか、せり出した台の上に立つ影1つ。
「貴様らの悪行をこれ以上見過ごすわけには行かない!」
「何物だっ!」
 背後に控えていた黒タイツの一人が叫ぶ。
「貴様らに名を名乗る必要も無いが……問うならば応えねばなるまい!
 我が名は『V』。悪を狩る勝利のヒーロー『V』だ!」
 どーんと背後で色の付いた煙が弾けるとなんとなくノリを理解した観客からやんやと歓声が上がる。中の人の声が凛々しいせいもあるだろう。
「はぁん? ヒーローのお出ましねっ、良い度胸じゃない!」
「ダイアクトー様、まずは我々が」
 すっと前に出る黒タイツ達。「珍しいわね。あんた達が前に出るなんて」と少し意外そうに呟くが、「まぁ、いいわ。お前達程度でどうにかなるようなヒーローに用はないしね」と笑みを浮かべる。
「何人でもかかって来い! とうっ!」
 防御力0を堂々と謳えそうなカラフルなスーツに身を包んだ『V』が軽やかに着地。すぐさま加速して黒タイツを迎え撃つ。互いに無手。一人目のパンチを受け流し続く連撃も打ち払う。すぐざま足払いを放って浮いた黒タイツのどてっぱらを蹴り抜くと、派手に後方に飛んで二人目を巻き込む。
 左右に展開して挟み討った三人目と四人目の息のあった攻撃を屈む事で紙一重で避け、追撃を前転することでさらに回避する。すると五人目が蹴りを放ってくるが両手をクロスさせてガード。後ろに転がる回転を変えつつ首が地面に付いたタイミングでぐいと押し返し宙に押しやると最小の動作で立ち上がり落ちてくる背中にパンチ一発。取り囲もうとした3人目と4人目にぶつかって転がっていく。
 そうすると棍棒を構えた六人目と七人目が待ち構える。『V』は腰に挿していた銃を抜くとトンと側面を叩く。するとどうだろう銃口部分が延びて剣の形に早変わりした。
 一合、二合と剣と棍棒が激しく互いを打ち鳴らし、黒タイツがどんと強く押しのけると『V』はたまらず体勢を崩してしまう。好期とばかりに踏み込んできた五人目だが『V』は即座に後ろ足を踏ん張って前へ。虚を突かれて反応できない五人目の腹を剣が薙ぐと、バチバチと派手な放電音と共にバーンと意味不明な爆発が起こり派手に吹き飛ぶ。それを当然のようにしながら返す刃で七人目を切り裂くと、同じく電気が走りばーんと爆発する。
「……役に立たない連中ねっ!」
 だんと地団太を踏みつつもオープンになっている小さな唇は笑みの形を取っている。
「いいわ、あたしが直接相手してあげる!」
 ダイアクトー三世が手を一振りすると真紅の鞭が現れる。
「ここからが本番ですね」
 『V』は相手に届かない距離で一人ごちる。
「あたしの前に立ちふさがった事を後悔しなさいっ!」
 どっ、と地面が鳴いた。何の音かと惚ける頭に対し、脊髄が締め付けるような危機感に手を動かせと命じてくる。

 がっ

 右腕に焼け付くような痛み。気が付けばダイアクトー三世が3m先に立ち、鞭のベクトルを変えている。
 ちらり右腕を見るとスーツが引き裂かれていた。
「何重にも敷いた防御膜を……っ」
 流石に呟きも引きつる。先ほどの黒タイツたちとのやり取りはただの演舞ではない。各々が『V』に付与魔術を掛けながらのやりとりである。今の『V』には予め付与した防御魔術の他にも各種能力値を向上させる魔術が掛けられていた。
「ちょっ、お嬢様いきなり《第二制御魔術解除(セカンドリミットリリース)》っ!?」
 倒れた(振りをしている)黒タイツの1人が焦った声を挙げる。
「ボーっとしてると死ぬわよ、ヒーローさんっ!」
 ひゅんと鞭が鳴き、その速度は目視可能な範囲をあっさり逸脱。「正面だ、腕をクロスして防御っ」必死の囁き声に意味も分からず応じた瞬間、両の腕にとんでもない衝撃が走り、体はあっさり宙を舞って観客席前の壁に叩きつけられる。
「あっけないわね」
「はっはっは、それはどうかなぁっ!?」
 不意に横合いからやたら胡散臭い声が響き渡る。
 続いてばしゅっと地面から大量の煙が噴出し、やたらカッコだけはつけた曲が闘技場全体を包み込む。
 そんな中せり上がってきたのは────巨大ロボだ。
 その肩に立つ男は白衣にアフロ。彼はがしょんとしっかり地面に立った巨人の上でニイと笑う。
「人呼んでアフロ博士、ただいま推参!」
 妙なポーズを決めるアフロ博士とやらと巨大ロボット。余りの超展開っぷりに分けが分からず指差して笑ってる観客も居る。
「へいへい、ダイアクトーさんよぅ。この正義の巨大ロボットが相手するぜぃ!?」
 どう見てもお前の方が悪役です。本当にありがとうございました。
「ピートリーさん、予定変更です! 彼女の攻撃力は計算外っ」
「はぁ? 何ですか? よく聞こえないんですが」
 ばばばばばんと派手な演出が巻き起こる中、『V』が一次撤退をジェスチャーするが、登場の派手な土ぼこりなどで声も動作も届かない。
「いいわね、こういう展開大好きだわっ」
 はじけるような明るい声。ん?と忘れていたダイアクトーの方に視線をやったアフロ博士は軽々と8mはあろうという彼のところまでジャンプし、そのまま細い腕を巨大ロボットの顔面に叩き込む。

 めきょ

「えっ?」
 驚いたのはダイアクトーの方。予想よりも遥かに脆い感触にバランスを崩して思いっきり巨大ロボットの顔面に突っ込んでしまう。ネタ晴らしをすればこの巨大ロボットはほぼ廃材の塊。動力部を適当にごまかし、関節部を強化の魔術で補強しただけのガラクタ山である。
 見た目がやたら格好良いのは宙に浮いているカーターからの映像投射のおかげだったのだが。もちろん実物はごらんの有様なので
「わぷっ!?」
 金属もあっさりぶち抜く攻撃力を有したダイアクトー三世は、思いっきりロボの顔面部に飛び込んでメキメキと派手な音を立てた。表面が映像のため、見た目はまるで巨大ロボットが彼女を食べてしまったようにも錯覚できる。
「……」
「……」
 そんなシュールな光景の中、腹に当たる部分でメキョ、バキと破壊音が響く。
「こんな破壊力聞いてないですよっ!?」
「す、スマン。お嬢様が妙にやる気になってしまったらしいっ……」
 黒タイツの一人がよろよろと起き上がる演技をしながら周囲を見渡す。そこで初めて気付くが倒れた黒タイツの数が若干少ない。
「っていうか、あんたあの調整役でしょ!?
 お嬢様ってどういうことですか」
「なっ、何故それを!?」
「流石は『V』、まさかそんな秘密に気付くなんて!?」
 アフロ博士がムダに驚いているが、本気か演技か判断に苦しむので無視。
「と、とにかく事情は後で話す事を約束する。
 今は超やる気になったお嬢様が更にテンション挙げないうち上手く敗退する方法についてだ」
 破壊音が派手に響く中、流石に反論の言葉は躊躇われた。
「闘技場の結界魔術は恐ろしく優秀だが安全装置については性質上やや不安がある。
 上手くダメージコントロールをしてくれ」
 その一撃を目の当たりにした『V』ことヨンの喉から「無茶な」と言葉が出かかった瞬間
 ばんと巨大ロボの腹が弾けた。
「やっと出られたわ。まさかこんな罠なんで思いもよらなかったわ。やるわね……!」
「ま、まさかこんなにあっさり罠が破られるとは!?」
「いや、罠じゃないでしょうに」
 オーバーアクションでダイアクトー三世に応じるアフロに、ヨンが冷静に突っ込む。
「ええい、かくなる上はっ!?」
「いや、それ、悪役(こっち側)のせりふですからね?」
 調整役黒タイツの突っ込みとか無視してアフロ博士はきょろきょろと見渡し。
「まだ、何か用意していましたっけ?」
「してないと思うよ」
「デスヨネー」
 だらだらと脂汗を流し始める。
「……もうネタ切れかしら。ふふ、少しは楽しめたけど所詮木っ端のヒーロー。あたしという巨悪の前に平伏すのが定めよっ!」
 風にマントと赤い髪をなびかせながらピシリと指差し宣言され、「ぬぅぅぅぅうう!」と悔しがるアフロ博士。
「ええい、かくなる上は最終手段だっ!」
 今、もうネタが無いと言ったばかりなのにばっと白衣をはためかせる。最後の手段と言われて警戒するダイアクトーに対し、彼はにやりと笑みを作った。
「せん─────」
 その言葉を遮るかのように闘技場の一角に降り立つ影。
「援軍ってわけ?」
 楽しそうにそちらを見るダイアクトー三世だが、
「あれ、誰?」
「知らないですよ。っていうか、今何を言おうとしたんですか?」
「戦略的撤退」
「……」
 こそこそとやり取りをしつつ新たな乱入者を確認。男女のペアで片方はフルプレートの重装にその二周りも大きくなった体が充分に隠れるほどの盾を持っている。もう片方の女は軽装の革鎧にロングスピアといういでたちだ。
「っ、あいつら」
 調整役黒タイツがある点に気付いて声を漏らす。
 二人の鎧に刻まれたエンブレム。このクロスロードに措いて『翼』をシンボルにしている組織と言えば挙がる名前は2つ。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

「平和だねぇ」
 『V』とかいうやつの戦闘までは闘技場らしい出し物だったのだが、あのアフロが出てきてからとたんにコメディになってしまった。
 まぁ、箸休めみたいなもんかね。とエディは割かし楽しんでいるらしい周囲の顔を眺める。
「ん?」
 笑うか呆れるか。観客の反応は大体この2種類だが、ふと視界に留まった男は違った。
「……」
 素早く視線を走らせる。彼の視線は闘技場の観客席、それも決まった数点を巡るように見ている。それを追ってみれば何人か同じように首をめぐらす者の姿がある。クロスロードで武装したまま歩くのは珍しくないが、全ての条件を合わせてみれば余りにも挙動不審だ。
 舞台の上ではダイアクトーとか言う女がロボットの腹から飛び出してきたところだ。アフロのあからさまに取り繕った言い様に大爆笑が巻き起こっている。『V』とアフロ博士、それからダイアクトーには小型マイクが付いているらしく、観客席にはその声が届いているのだ。
 エディは立ち上がり何気ない動作で男の隣に座る。男の肩がびくりと震え、あからさまにこちらを気にするのを無視。
 男が一番気にしているポイントはどうやら特別席の上部らしい。ごみごみした場所で観戦するのを嫌ったりする人が利用するVIP席というやつだ。当然人の密度はそんなに無い。その最上部にやたら物々しい杖を持った人族の姿がある。

『せん─────』

 アフロが格好つけて何やら宣言しようとした瞬間、観客席前方から闘技場に2人が飛び込んだ。
 それと同時に隣の男は荷物から水晶玉を手に取り周囲に目配せを、そしてVIP席に座る杖持ちを見上げた。何をしようとしているのかは分からないが……
「よぅ、兄ちゃん。何をしようとしてんだい?」
 新たな乱入者に注目が集まる中、クイックアクションで銃を抜いたエディは周囲に見えないように男のわき腹に拳銃を突きつける。
「な、何をする……!」
「俺が聞いてるんだが? っと、動くなよ。サイレンサーくらい付いてるから容赦なく撃つぞ」
 サイレンサーについてはブラフだが、男からは体を捩らないと銃口は見えない。
「我々はクロスロードの秩序のために行動をして居る。心あるなら邪魔をするな」
「秩序だと?」
 眼下では乱入者がなにやら宣誓をしているようだが……
 ぞくりとした。
 視線。いくつもの視線がこちらに集中している。いや、有象無象は良い。VIP席に座る杖持ちが一直線にこちらを見据えている。
「もう一度言うぞ。俺たちはクロスロードの秩序のために行動している。アンタが秩序を乱す者でなければ銃を降ろせ」
「……乱す者だったらどうするってんだ?」
 内心の動揺を押し殺してニイと笑う。
「抹殺する」
 こいつはヤバイ。銃を突きつけられた男の驚愕はすでに治まり、その視線に宿るのは覚悟の色だ。
 残り時間はそう無い。今までの経験が首筋をチリチリさせながら訴えかけている。
「お前らは……」

『我々律法の翼はここでダイアクトーと名乗る悪を討つ!』

 舞台から響き渡る女性の声に舌打ちを堪え、エディはどうするべきかを決めた。

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ギャグシナリオで終わると思ったら大間違いだ!(=ω=)
というわけで総合GMの神衣舞です。
今回のシナリオのメインゲストはダイアクトーだけでなく律法の翼(過激派)もだったりします。
そろそろこのあたりを表現したかったので。
さて、今回の律法の翼の行動は明らかに「お前らが迷惑だよ」なんですが、ちゃんと行動は理に適っていたりします。
「警察が空気読んで犯罪者見逃したらだめだよね?」
穏健派はわりかし空気読むんですが過激派は強い治安維持組織を目指しているため、悪名が勝っても構わないし、むしろそれを望んでいます。いくら警察が鬱陶しいからと警察に積極的に喧嘩を売りに行くのは馬鹿馬鹿しい。そういう風潮を作りたいのです。

ここら辺は説明しとかないとって事でちょっと長めですが。
次回のリアクションをよろしくお願いします。
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