なんとか『怪物』を撃退したものの、それまでに作り上げてきた開拓地は散々な状態でした。
絶望と虚無感にこの地を去る者も少なくなかったものの、様々な理由でこの地に残り続ける者も少なからず居ました。
残った者は1つのコミュニティを作り、『怪物』への対策を取るべきだとの考えを持ちます。
しかし逃げ出した上に無用の死者を出したガイアスとヴェールゴンドに任せようとする者は当然ながら居らず、また故郷への道を失った永遠信教軍はこの地に留まる事を決めつつも、主の命に従うというスタイルから、積極的な干渉を行う様子は見られませんでした。
主な3軍が主導権を持たない状態で何一つ決まらぬまま、戦後処理に没頭するだけの日々が続いたのです。
人々は死者を弔い、使える武器や怪物の死骸から再利用できる箇所を剥ぎ始めます。
この時ガイアスやヴェールゴンドから離反し、最後まで戦い続けた兵たちは訓練された動きで大いに貢献したと言われます。
もちろん『怪物』が全て消え去ったわけではありません。
小規模ながら怪物の襲撃が繰り返されたものの、七日間を生き残った者達は巧みに迎撃を行い、再構築された防衛ライン内側に町が作られていったのです。
これがクロスロードの始まりです。
前歴1年12の月初旬。
血肉は焼かれ、土に返り、再び地面が顔を出した頃。
《扉の園》でとある会合が開かれました。
これを『門前会談』と言います。
これの参加者は明確になっていません。『七日間』で活躍し、発言権を得た者達が集まったとだけ噂されています。
そして翌月。
丁度『開かれた日』から2年目のその日、この町を『クロスロード』と名付けると共に『管理組合』の発足を宣言されました。
『管理組合』はあらゆる世界に対し基本的に公平に接する事を信条とし、単独意志を避けるために組合長は永久不在。救世の四人に倣って副組合長を4人措くこととしました。
この四人は公平に運営管理するために原則秘密としていますが、噂では本当に救世の四人がその立場にあるのではないかと大いに噂されました。
同時にパーソナルブレスレッド(PB)、クロスロードチップ(CRC)の制定、賞金システムの開示と特区法の設立申請受付など、インフラの整備が一気に推し進められました。
ガイアスの離反者は主に組合の事務方として活躍し、ヴェールゴンドからの離反者と天使は特区法に基づくニュートラルロードの治安維持と、賞金システムの理解を求めるための対怪物戦闘に従事する事になります。