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〜追加情報〜
1:物理法則について
 物理法則について
 多重交錯世界の物理法則は現実世界地球を基準とします。
 水は100度で沸騰しますし、地表の大気圧は1気圧です。
 困ったら地球世界の物理法則を当てはめてください。
2:特殊法則について
 天使のような羽を人間の背中につけても、現実世界の物理法則では飛ぶことができません。
 これは人間の大胸筋が人間の体を飛翔させるのに充分ではないからです。飛行を実現するには、もはや人間のフォルムを粉砕するような大胸筋を用意しなければならないと言われます。
 しかし多重交錯世界では有翼人が普通にその背の羽で空を飛びます。
 これについては《固有認識空間》理論が提唱されています。
 多重交錯世界では『自身の周囲を自分の信じている世界に塗り替える』作用が働いているという理論です。
 細かく言うと面倒なので『個人の能力に関しては問題なく発揮される』とだけ覚えておけば良いでしょう。
 体長10mの巨人族は自重で膝関節が砕かれる事はありませんし、有翼族は問題なく空を飛べます。
 動物の声帯と同じでも獣人種は言葉を話せますし、ウンディーネやシルフはその体を半固定化させて存在し続けることができます。
 しかし自分から離れた場所になると基本的には現実世界の法則に縛られます。
 例えば水が100度でも沸騰しない世界の人間がお湯を沸かした場合、多重交錯世界では100度まで熱しないと沸騰しません。

 また『マナ』や『エーテル』など魔法の元として認識される不思議物質についても個人に集積される時点で適当な存在に変化します。
 仙術論より、『似ているものは同じである』という術式が恒常的に働いているのではないかという意見もあります。
 世界Aと世界Bの水の分子構造が科学的に見て違っていたとしても、世界Aと世界Bの人間は多重交錯世界の水を等しく水として飲む事ができるのです。
 そのためミクロの世界で物事を分析する科学者の間では研究が滞っており、概念や象徴を基本とする魔法技術の方が優先される傾向にあります。
3:世界の姿と観測機器
 世界の姿は測量から地球サイズの惑星型だと推測されています。
 恒星は1つ衛星も1つあり、これは『太陽』『月』と称され、同じく地球世界のそれとほぼ類似しているとされています。
 世界によっては月にいろいろと謎が隠されていたりしますが、今のところは不明です。
 というのも、未探索地域に放った無人探査機が謎のロストを繰り返すからです。
 それは陸だけではなく空にも適用されます。目視可能距離を脱した辺りで急に通信波が途絶えロストしてしまいます。
 一般論としては「『怪物』が生息しており、それが探査機を破壊している」と提唱されていますが、やはり諸説あります。
 ガイアス軍が無数の探査機、有人機を放ち調査をしていたという情報もありますが、その大半はやはりロストしており、現在の探索地域を越えた範囲の情報は皆無と言えます。
 現状としては「探索者が目視し、持ち帰った地域に関しては解明される」という事実のみが確実な探査方法だという事です。

 ただ最近『巣』または『エリア』という単語が未探索地域を回る探索者の中で囁かれています。
 探索地域の中にぽっかりと未探索の地域が浮かび上がってきたのです。
 もちろん安全区域となった中の未探索地域など探索者にとっては絶好のスポットのはずですが、探索に乗り出した者が帰ってきたという報告がありません。
 そのため「そこは上位の怪物の《巣》で立ち入った者を片っ端から食っている」という怪談染みた話がまことしやかに語られています。
 これを受けて上空にも《巣》が存在しており、そこに踏み入った探査機が破壊されているのではないかという提唱もちらほら上がってきています。
4:扉

 『扉』とは多重交錯世界と他の数多の世界を結ぶ道で、現状1つの世界に対して2つ以上の扉は確認されていません。
 『扉』にはこれまでの研究から以下の性能が推測されています。
 ・言語中枢の操作
  扉を潜って多重交錯世界へ来た来訪者は統一の言語を話す事が出来ます。
  しかし元々の世界で言葉を話せない者はこれに含まれません。ファミリアなど術者とのみ意思疎通をできる存在についてはやはり術者とだけ意思疎通が可能なままです。
  世界Aの者が多重交錯世界から世界Bの扉を抜けた場合、世界Aの者は世界Bでの『扉』地点の言語を取得します。

 ・世界への固定化
  来訪者は如何なる方法でも『扉』を傷付けることが出来ないと推測されています。
  もちろん1つの世界と繋がる『扉』は1つしかないため無茶な方法(物質消去や存在消去魔術等)は試されていませんが、ウォーターカッターや単分子ワイヤーでもカッティングできなかった事から、物質的な硬度に優れていると言うよりも概念的にそこに有ることが定義付けられていると考えられています。
  しかしながら、唯一『扉』を破壊する方法が確認されています。
  『怪物』の攻撃には『扉』はその頑強さを一切無視して破壊される事が証明されているのです。
  これについては『怪物』の死体の一部を持って来ても傷付けられず、自意識で動いている『怪物』のみ可能であろうと推測されています。理由はもちろん不明です。
5:世界の類似性について
 数多の世界の統計を取るうちに研究者の中では『地球世界起源論』が持ち上がってきています。
 これは現在『地球(を名乗る)世界』と繋がる扉が7万を越えており、あらゆる生物にのアーキータイプがそこに存在しているからです。
 宗教論については後述に任せるとして、先に述べた物理法則、惑星のサイズ等も地球に類似している事がその裏づけとして論じられています。
 逆説的にこの多重交錯世界と繋がる扉は『地球世界系』の世界とのみ繋がっているから来訪者が問題なく活動できているという考え方もなされています。
6:宗教について
 多重交錯世界において他者に多大な被害を与えない限り、信仰は自由です。
 もちろん生贄に人を浚いまくったりすると賞金を掛けられます。
 しかしながら世界が違えば当然神のあり方も異なるため、布教活動は歓迎されない傾向にあります。
 『全ての世界を作った神』を称する宗教が出回った事もありましたが、無数にある価値観が違いすぎる宗教論を統一する事が出来ず自滅した例があります。
 他の様々な神やその神威を目の当たりにした宗教家は、己の宗教論も見直さねばならなくなり、結果として「見ないことにする」傾向にあります。
 神族を名乗り、実際にそれなりの神威を振るってみせる存在がロウタウンに住んでいたりするので「他所は他所、うちはうち」が正しい判断としたようです。
 もちろんそれを納得できずにテロまがいの行動に出る人も稀に出ているので探索者が対応に回ったりもしています。
 異世界でも神の奇跡は使えるのか。これについてはどうも問題無いようで、神託を受ける事も可能です。
 但し扉を破壊された永遠信教世界の天使は主神との交信が途絶えているらしく、扉が一種の中継機になっていると考えられています。
7:世界侵略思想
 実際に多重交錯世界ではヴェールゴンドや永遠信教世界が目指したように、異世界への侵略行為を行った歴史のある世界もあります。
 『ヴェールゴンドの大征』以降にも実は多重交錯世界を制圧せんと軍隊を送り込もうとした世界がいくつかありますが、全て「他の来訪者から通行の邪魔と訴えがあった」ために賞金が掛けられ、大した集軍も出来ないうちにもぐら叩き的に撃退されています。
 また文明世界の数人で文明が未開拓の世界に乗り込み、征圧しようとした例もありますが、有志によって食い止められています。
 管理すれども統治せずの管理組合はこの一切に関与しません。
 が、被害に遭っている世界の人がクロスロードの住民となり、多重交錯世界経由で被害を受けている場合には『賞金』を設定しますので、そういう方法で干渉する事は稀にあるようです。
8:通信技術について
 クロスロードではテレビ、ラジオ、携帯電話などの電波通信技術の一切が使用できません。
 詳細は明確になっていませんが、何らかの要因が通信障害を引き起こしているのだとして研究者が調査を続けています。
 電波だけに留まらず長距離のテレパシーやウィンドボイス、クレアボヤンズ(千里眼)、テレポートなども阻害されるようで、使用については注意を呼びかけています。
 これらの有効射程は大体100m。それ以上は強烈なノイズ等を受けて失敗する事が確認されています。
 以上のことから、無線などは戦闘時に小隊やパーティ単位での使用に留まり、大規模な通信は上空に幻影魔術やプロジェクターで投影する方法が用いられているのが現状です。

 PBのシステムについては管理組合からの情報提供が無く、明確に分っていませんが、学者の見解としては
 ・個々が中継器の役割を持つため、広範囲の通信を可能としている
 ・ジャミングに影響されない何らかの手段を知っている
 の2つが主ですが、クロスロードから離れると最新の情報をPB経由で入手できなくなる事から

 前者であると目されています。
9:死者について
 世界によっては死者蘇生の技術がありますが、クロスロードでその成功例はありません。
 試みた神聖術者は口を揃えて『魂がすでに消失している』と話します。
 これについては理由を示す事例が確認されています。
 ある探索者が死後、出身世界に埋葬するために戻されたのですが、そこで死者蘇生の儀式を行った所成功したのです。
 このことから「死して抜け出た魂は元の世界に引き戻される」というのが通説です。
 これは死者蘇生技術のある世界に別の世界の死者を送り込んでも死者蘇生はできないという事を示しています。
 魂を器物に封印する術もありますが、実験のために殺害するわけにもいかないため、体と魂を別々に持ち込んで死者蘇生が可能かどうかは定かではありません。
 一方で幽霊の存在が確認されています。これについては「死んで元の世界との繋がりが薄くなった者が迷い込んでいる」との見方が有力です。
 これの意味については諸説ありますが、所謂「現世」と「冥府」は違う世界であり、蘇る可能性を失った者はもとより世界を渡る力があるという説も興味深いとして研究されています。
10:工場(工業生産品)
 クロスロードには工場が存在しません。
 せいぜい工房というレベルです。
 これには2つの理由があり、1つは工場用地が無い事。もう1つは資源が無い事です。
 クロスロードの町並みは新暦2年の時点で整っており、小さな改築はあっても、大きな建設が無い状況です。
 これは管理組合が人が住む住まないに拘らず町並みを整備した結果であり、もしも工場を建設するのであれば一区画を取り潰すか、壁の向こうに作るかの2択となります。
 もう1つは資源となるものが発見されていない事です。
 貿易拠点として発展しているクロスロードへわざわざ資源を持ち込み加工するメリットが薄く、完成品の世界間通商の方が効率がよいのです。
 今後資源となるべき何かが発見されれば話も変わるでしょうが、少なくとも現状のクロスロードでは必要性が皆無です。

 余談ですが、工房では怪物の死体を加工した製品も多く作られています。
 竜を初めとする幻想・神話級の『怪物』の肉体はミスリル等の魔法金属を凌駕することもあるため、珍重されます。
11:言語を介する者、介さない者

 『扉』には様々な世界の言葉を統一する能力があり、これが『扉の塔』を「バベルの塔」とも呼ぶ所以でもあります。
 では、誰でも会話が出来るようになるのかというと、そうでもないようです。
 例えば騎乗用の馬や飛竜、使い魔の動物など元の世界で会話しなかった者は多重交錯世界に来ても、基本的には喋りません。
 その一方で、元々喋る事のできる使い魔の猫が、喋ることの出来ない普通の猫と意思疎通を交わす事が可能であるとの報告もあり、
 言語の付与を受ける条件は以下の通りと推測されています。
 ・一定以上の知性がある。
 ・言語体系が確立している。
 ・クロスロードで言う所の『人』と会話が可能だと考えている。(思い込んでいる?)
 もちろん例外は多数あり、目安でしかありません。
 猫は猫同士、犬は犬同士、別の世界出身でも会話が成立しているようなので現状の結論としては
 『自分が会話可能だと思っていた相手と会話が可能になる』
 というシステムだと類推されています。
12:力の抑制と解放
 出身世界でできた事が多重交錯世界ではできなくなっているという報告が多数あり、これは元々の世界で特に力の強い者や神話級の武具において顕著に現れる傾向にあります。
 この原因に扉が関与しているだろう事はほとんどの学者が認識を同じくしていますが、どういう条件で抑制されているかについては諸説あり、議論がなされています。
 現在最も有力視されている説として
  ・あらゆる世界で個の力を段階評価をした結果を多重交錯世界の段階評価に投射している。
  ・多重交錯世界での対象への評価(認識・認知度)で評価段階が上昇し、より大きな力の行使が可能になる。

 の2つがあり、これは「扉による能力の相対的平均化」「共通認識による能力の拡大現象」と称されています。

 もう少し詳しく説明しましょう。
 巨人の世界があり、そこの王者が居るとします。彼の強さは世界で一番なので10段階評価でトップをもらえます。
 一方で小人の世界があり、同じくそこの王者が居る場合、やはり彼もその世界での評価はトップです。
 この二人が多重交錯世界で相対した場合、共に10段階評価のトップですので多重交錯世界では「同じランク」と見做され、同等の力を許される事になります。
 これが「能力の相対的平均化」作用です。

 ですが、実際には巨人のパンチを小人が受け止める事はできません。
 これが2つ目の理論「共通認識による能力の拡大現象」による影響です。
「巨人のパンチは大きな質量を持つため、小人では支える事ができない」
 この認識を持つ者が多ければ多いほど小人と巨人の純粋な力の差は大きくなります。
 これと同時に「小さいと当てにくい」「小さい物は素早い」などの認識が巨人を強くしたものと同等程度の力を小人に与える事になります。
 結果総合力としては巨人と小人の力は同等となるのです。

 この理論は多重交錯世界独特のものではありません。
 神族に良く見られる「信者の数による力の増減」という現象に近いものではないかと考えられています。

 そうするとプロパガンダひとつで超絶的な英雄を作れるのではないかとの推測がたちますが、もうひとつの要因がこれを成立させていません。
 もう3つ目の要因となるそれは「自己認識による力の抑制」
 小人が巨人を見て「力比べでは勝てない」と認識してしまえば、その分だけ力関係は変化すると考えられています。

 詰まるところ多重交錯世界で「強くなる」にはどうすればいいか。
 それは結局のところ経験を重ね、自己を鍛え、成果を出す事がすべてとなります。
 そうする事で、「自分の世界での能力評価」「他者からの認識」「自己評価」の三要素が向上し、強くなっていくのです。
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